不動産投資をする前に、不動産投資をするとどのような費用が発生するのか?いくらかかるのか?を正確に把握しておく必要があります。「いくらかかるのか?」がわからなければ、不動産投資の計画を組むこともできませんし、いくら貯めれば良いのか?もわかりません。不動産投資の費用は正確に理解しておく必要があります。
目次
不動産投資の費用一覧
初期費用(イニシャルコスト)と毎月発生する維持費用(ランニングコスト)
不動産投資の費用は、大別すると
- 初期費用(イニシャルコスト)
- 毎月発生する維持費用(ランニングコスト)
に別れます。
初期費用(イニシャルコスト)
初期費用(イニシャルコスト)とは
一回だけ支払う費用のこと。不動産投資の場合は、不動産を購入するタイミングで一回だけ発生するコストのこと
を言います。
毎月発生する維持費用(ランニングコスト)
毎月発生する維持費用(ランニングコスト)とは
維持するための継続的に発生する費用のこと。不動産投資の場合は、毎月発生する不動産を維持・管理するためのコストのこと
を言います。
不動産投資の費用については「初期費用(イニシャルコスト)」「毎月発生する維持費用(ランニングコスト)」とわけて解説します。
不動産投資の初期費用(イニシャルコスト)
不動産投資の初期費用(イニシャルコスト)には
- 売買代金
- 消費税
- 仲介手数料
- 印紙代
- 不動産登録免許税
- 不動産登記手数料(司法書士報酬)
- 固定資産税(日割り)
- 不動産取得税
- 火災保険料
- 地震保険料
があります。
物件によって異なりますが、売買代金を除いた初期費用は、だいたい物件購入価格の7%~10%程度になります。
不動産投資の初期費用 = 物件価格の7%~10%
つまり、不動産を購入する際には「物件価格の約1.1倍の費用が必要」と考えておく必要があるのです。
売買代金
売買代金とは
不動産の物件自体の代金のこと
を言います。
売買代金は、初期費用とは言わないことが多く、初期費用から除いて考えられるものです。
消費税
不動産に関しては
- 土地 → 消費税が発生しない(消費税)
- 建物 → 消費税が発生する
という仕組みになっています。
消費税の計算
消費税 = 建物の購入価格 × 消費税率
2,000万円の土地を購入するときには、2,000万円を支払えれば良いだけなのですが
2,000万円のマンションを購入するときには、消費税10%を加えると、2,200万円支払わなければならないのです。
土地と建物が一体となって売られている「戸建て住宅」「1棟アパート」とかはどうなるの?
「土地がいくらで、建物がいくら」という価格の按分を行い、建物に該当する分の消費税を支払う必要があります。
1棟アパート:5,000万円とだけ書いてある物件であっても、契約時点では、土地3,000万円、建物2,000万円とどちらがいくらか決める必要があり、建物2,000万円にだけ消費税がかかり、2,200万円支払う必要が出てくるのです。合計で5,200万円支払うことになります。
消費税が嫌だからと言って、相場から離れた金額に按分する(例:土地4999万円、建物1万円)と国税にチェックされ、脱税になってしまうので注意が必要です。
仲介手数料
仲介手数料とは
不動産会社を通して不動産を購入した場合に、不動産会社に支払う費用のこと
を言います。
仲介手数料の金額
仲介手数料は、宅建業法第46条によって上限金額が定められています。
仲介手数料
売買代金 | 媒介報酬(仲介手数料) |
---|---|
200万円以下の部分 | 取引物件価格(税別) × 5% + 消費税 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 取引物件価格(税別) × 4% + 消費税 |
400万円を超える部分 | 取引物件価格(税別) × 3% + 消費税 |
簡単に計算する計算式
(取引物件価格(税別) × 3% + 6万円) + 消費税
仲介手数料の計算
3,000万円の不動産を購入した場合の仲介手数料
売買代金 | 媒介報酬(仲介手数料) |
---|---|
200万円以下の部分 | 取引物件価格:200万円 × 5% + 消費税 = 11万円 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 取引物件価格:200万円 × 4% + 消費税 = 8.8万円 |
400万円を超える部分 | 取引物件価格:2,600万円 × 3% + 消費税 = 85.8万円 |
合計 | 105.6万円 |
簡単に計算する計算式
(取引物件価格:3,000万円 × 3% + 6万円) + 消費税 = 105.6万円
不動産会社は、仲介手数料を上記以上に高く設定することができません。安く設定することはできます。
また、仲介手数料は成功報酬ですので、不動産の売買契約が成立しない場合は、1円も払う必要はありません。
仲介手数料が不要なケース
個人から直接購入する
直接、売主から購入する場合は、仲介手数料が不要です。
ただし、知り合いから譲ってもらう、知り合いから買うのでなければ、不動産会社を通して不動産を探すのが一般的であり、日本ではまだ「直接売主から購入する」という文化は根付いていません。不動産会社を使ったら、仲介手数料が発生するものと考えましょう。
直接、売主から購入するためには、売主を探すノウハウや、契約のノウハウ、物件を調査するノウハウなど、様々な技能が必要になるため、不動産会社に任せる方が手間がかからないのです。
不動産会社が売主
不動産会社が自分で物件を持っている場合(売主 = 不動産会社)も、仲介手数料が不要です。
不動産会社は不動産の売却価格にはじめから収益を乗せているため、あえて仲介手数料を取る必要がないのです。
印紙代
印紙代とは
日常の経済取引に伴って作成する「契約書」や「金銭の受取書(領収書)」などに課税される税金のこと
を言います。
印紙を購入して、契約書に貼り付けることで、印紙税を納税していることになるのです。不動産投資でも、不動産売買契約書や領収書が必要になるため、そこに印紙を貼り付ける実費が不動産会社から請求される形になります。
印紙代(印紙税額)
不動産売買に関する「契約書」に必要な印紙税額
記載された契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
1万円未満のもの | 非課税 |
1万円以上~10万円以下のもの | 200円 |
10万円を超え~50万円以下のもの | 400円 |
50万円を超え~100万円以下のもの | 1,000円 |
100万円を超え~500万円以下のもの | 2,000円 |
500万円を超え~1,000万円以下のもの | 1万円 |
1,000万円を超え~5,000万円以下のもの | 2万円 |
5,000万円を超え~1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え~5億円以下のもの | 10万円 |
5億円を超え~10億円以下のもの | 20万円 |
10億円を超え~50億円以下のもの | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
不動産売買に関する「領収書」に必要な印紙税額
記載された契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
5万円未満 | 非課税 |
100万円以下 | 200円 |
200万円以下 | 400円 |
300万円以下 | 600円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 2,000円 |
2,000万円以下 | 4,000円 |
3,000万円以下 | 6,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
1億円以下 | 20,000円 |
2億円以下 | 40,000円 |
3億円以下 | 60,000円 |
5億円以下 | 100,000円 |
10億円以下 | 150,000円 |
10億円超 | 200,000円 |
記載金額のないもの | 200円 |
印紙代(印紙税額)の計算
売買金額に該当する印紙税が発生します。
5,000万円の物件なら、2万円の印紙税が発生するので、2万円分の印紙を購入して、契約書に貼らなければなりません。
基本的に売買契約書は2部作成し、買主、売主、双方が保管するものですから、2万円 × 2部 = 4万円の税金が発生する形になります。
印紙税の負担は、どちらが行っても良いのです、買主が自分の保管分を負担し、売主が自分の保管分を負担するのが一般的ですが、どちらも売主が負担する、どちらも買主が負担するということも可能です。
不動産登録免許税
不動産登録免許税とは
不動産の登記手続きの際に国に納める税金のこと
を言います。
不動産登記とは
不動産の物理的現況と権利関係を公示するために作られた登記簿に登録すること
を言います。
不動産登記は「ここは私の土地です。」というのを公的に証明するために行う手続きです。この証明手続きを行うことで、不動産売買や融資手続きなどを安全に行うことができるのです。
法律上、権利部部分(所有権や抵当権の設定)に関して、登記は義務化されていないため、登記をする、しないは自由ですが、登記をしないことで
- 不動産が売れなくなる
- 銀行が融資をしてくれなくなる
- 二重譲渡が発生して、もう一人の方が登記してしまったら、自分の土地の権利がなくなる
など、デメリットが多く、原則「不動産は、登記する物」と考えておく必要があります。
不動産登記には
- 建物表題登記:新築購入時
- 所有権保存登記:新築購入時
- 所有権移転登記:中古購入・相続・贈与時
- 表題変更登記:増改築時
- 抵当権設定登記:住宅ローン借入時
- 抵当権抹消登記:住宅ローン完済・不動産売却時
- 分筆登記:土地分割時
などの種類がありますが、不動産投資で物件を購入した場合は
- 新築物件:「所有権保存登記」
- 中古物件:「所有権移転登記」
が必要になります。
不動産登録免許税額
土地
内容 | 課税標準 | 税率 | 軽減税率(措法72) |
---|---|---|---|
売買 | 不動産の価額 | 1,000分の20 | 令和5年3月31日までの間に 登記を受ける場合1,000分の15 |
相続、法人の合併又は共有物の分割 | 不動産の価額 | 1,000分の4 | - |
その他(贈与・交換・収用・競売等) | 不動産の価額 | 1,000分の20 | - |
建物
内容 | 課税標準 | 税率 | 軽減税率(措法72の2~措法75) |
---|---|---|---|
所有権の保存 | 不動産の価額 | 1,000分の4 | 個人が、住宅用家屋を 新築又は取得し 自己の居住の用に供した場合は除く |
売買又は競売による所有権の移転 | 不動産の価額 | 1,000分の20 | 同上 |
相続又は法人の合併による所有権の移転 | 不動産の価額 | 1,000分の4 | - |
その他の所有権の移転(贈与・交換・収用等) | 不動産の価額 | 1,000分の20 | - |
不動産登録免許税額の計算
土地:3,000万円、建物:2,000万円の1棟アパートを購入した場合は
土地:3,000万円 × 1.5% = 45万円
建物:2,000万円 × 2.0% = 40万円
合計:85万円
という登録免許税が発生することになります。
不動産登記手数料(司法書士報酬)
不動産登記手数料とは
不動産登記手続きを司法書士に依頼した場合に支払う司法書士報酬のこと
を言います。
司法書士によって費用はことなりますが、3万円~10万円が相場です。司法書士は、誰に頼んでも、結果は同じですので、報酬が安い司法書士を探すべきですが、多くの場合は、不動産会社に付き合いのある司法書士でお願いされることが多く、そのままお願いしてしまうケースが多いです。
よほど、相場から離れた費用を見積もられた場合には、不動産会社に言って、自分で司法書士を探すことをおすすめします。ネットなどで見つける司法書士の方が司法書士報酬は安くなります。